近年の健康志向の高まりから、都市部を中心に自転車通勤をしている従業員が増えています。
特に北海道の場合は冬期間自転車に乗ることができない為、路上から雪が消えた途端自転車の数
が急激に増えるようです。そこで以下では、自転車通勤を認める際の注意点を記載しておきます。
1、通勤途上の事故の取扱いと通勤災害
自転車通勤の途上で事故に遭った場合、それが労災保険の通勤災害に該当するのかという
問題が生じます。そもそも通勤災害とは、(1)就業に関し、(2)住居と就業の場所との
間の往復、就業場所から他の就業場所への移動、単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動
を、(3)合理的な経路および方法により行うこと、をいいます。
ここで問題となるのが、「合理的な経路および方法」の解釈です。まず経路については、会社
に届け出たルートだけでなく、一般的に考えて他の人が使うような合理的なルートであれば
通勤災害の対象になります。合理的な方法についても、実際に従業員が利用している方法に限
られるものではなく、公共交通機関、自動車、自転車、徒歩も含まれます。そのため、会社に
は電車通勤で届け出ているが、自転車で通勤し事故に遭った場合、会社に届け出た方法で通勤
していないという問題はあるが、その経路が一般的に他の人も通るであろう経路であれば、通
勤災害として認められます。しかし、健康増進の為通常であれば自転車通勤をしないような遠
隔地から自転車通勤をする人が増えていますが、この場合は合理的な経路および方法とは言え
ず、通勤災害として認められないことが有り得るでしょう。
2、自転車通勤の許可基準
従業員が自転車通勤をする際、本人だけでなく、第3者に怪我を負わせてしまうリスクがあり
ます。最近は特に自転車による人身事故については、自転車そのものが高機能化している為簡
単にスピードをあげることができ、いざ事故となれば重大事故に発展する例も増えてきていま
す。企業としては今後、従業員が自転車通勤をする場合は許可制とした上で一定の安全教育を
行い、併せて賠償保険の加入を義務づける等、社有車の使用やマイカー通勤と同様に考えてい
く必要があるでしょう。
N.M
2016.05.18